派遣社員のメリットとデメリットとは?デメリットしかないって本当?
あなたは派遣社員になろうと考えていないでしょうか。
もしくはすでに派遣社員として働いていて、今後について不安になったりしているかもしれませんね。
派遣社員は正社員とは違う存在なのですが、多くの企業では同じように扱われることも少なくなりません。
そこで今回は、派遣社員のメリットとデメリットについてご紹介していきます。
派遣社員のメリット
キャリアを生かせる仕事ができる
自分のやりたい仕事、これまでやってきた仕事、キャリアを生かせる仕事をすることができるというのが、派遣社員の大きなメリットと言っていいでしょう。
「それは、正社員でも同じなのでは? 希望する業種、やりたい職種を選んで就職すれば、正社員でも同じようにやりたい仕事やキャリアを生かせる仕事ができるはず」と思われるかもしれません。
しかし、正社員の場合はその会社に所属しているわけですから、たとえば「自分は営業の現場でバリバリ働きたい」と思っても、管理部門に配属されるということもあります。
逆に「経理のキャリアを生かした仕事をしたい」と思っても、まったく畑違いの営業所勤務ということもあるでしょう。
そのように、正社員は思っていたのとはまるでちがう部署に配属され、考えてもいなかった仕事をすることになるケースが少なくありません。
その点、派遣社員は派遣会社に所属しており、あくまでも働く企業に一時的に派遣されるわけですから、希望している仕事を行うことができます。
「これまで培ってきた仕事のスキルを生かしたい」と思えば、その通りの仕事に就くことができるわけです。
そのようにキャリアを重ねていきながら、キャリアアップを目指せるというのも、やりたい仕事ができる派遣社員のメリットでしょう。
希望する勤務条件で働くことができる
自分の希望する勤務条件のところを選べるというのも、派遣社員のメリットの一つでしょう。
もちろん、正社員でも、就職する時に勤務条件を選ぶことができますが、たとえば「1年だけ働きたい」という希望を叶えることはできません。
そうした希望を持って正社員になった場合は、1年後に退職するためのめんどうな手続きを行わなくてはならないわけです。
会社にも迷惑をかけることにもなるでしょう。
また、正社員には異動や転勤ということもあります。
「自宅に近いから」という理由でその会社を選んだとしても、社内異動で転勤になれば、場合によっては引っ越しをしなければなりません。
「こんなはずでは」と、転職を考えなくてはならなくなるケースも少なくないでしょう。
また、社内異動で違う部署に移れば、勤務時間がそれまでとは違ってくるということもありえます。
本社の管理部門勤務と、営業所や店舗勤務とでは、当然働く時間は異なります。
そのため、「こんなはずでは」という事態になることが少なくありません。
その点、派遣社員であれば、最初に自分の選んだ勤務条件どおりに働くことができます。
「家の近くで1年間だけ働きたい」というような希望がかなえられるのが派遣社員の大きなメリットなのです。
責任が重くないから気楽
正社員と比べて派遣社員には将来性がないということが言われます。
「将来、出世して、会社の経営にかかわる仕事をしたい」というような夢を持っている人にとっては、たしかにそうでしょう。
しかし、出世をするということは、重い責任を負うことにほかなりません。
高い地位になればなるほど、その責任は確実に増していきます。
地位が上がれば上がるだけ責任は重くなり、何かあれば、自分でその責任とらなくてはならなくなるでしょう。
もちろん、それを仕事のやりがいと感じる人もいるでしょうが、「自分はそんな重い責任を負う仕事はしたくない」と考えている人も少なくないでしょう。
また、出世を目指したものの出世争いに敗れて、仕事に対するモチベーションを失うということもありえます。
その点、派遣社員であれば、出世とは無関係でいられるわけです。
「重い責任を負うことなく、自分に任された仕事、自分のやるべき仕事だけをきっちりこなしたい」と思っている人にとっては、出世はむしろデメリットでしかないでしょう。
出世と無縁でいられるというのは、会社に束縛されないということでもあります。
その気楽さこそ、派遣社員の大きなメリットにちがいありません。
日払いで給料がもらえる派遣会社が多い
多くの企業では社員やアルバイトなどの勤務状況は1ヶ月単位で締め、その翌月払いというのが一般的ですが、派遣会社には給料が日払いで受け取れる会社が多くあります。
以前は、働いてすぐにお金がもらえる仕事といえば、引越しのアルバイトや女性は水商売など、一部の仕事に限られていることが多かったものの、最近では働いた当日や翌日などに給料が振り込まれる派遣会社も出てくるようになりました。
派遣社員として働く人の中にはお金がすぐ欲しいという人も多く、働き始めて1ヶ月先の給料受取では長すぎるという人もいます。
働きたいけどすぐにお金が必要なためすぐに現金を受け取れる所でしか働くことができないという人も多く、そのような人にも多く働いてもらえるように派遣会社が働いてからすぐに給料を受け取れるシステムを導入するようになりました。
派遣会社が派遣先の企業から、派遣社員が働いた分の報酬を請求するのは1ヶ月単位ですので、派遣会社が一旦立て替えて派遣社員に支払うことになります。
このシステムを導入することになり、すぐにお金が欲しいという人でも働きやすくなり、結果として仕事を選ぶ選択肢が増えるというメリットがあります。
時給単価が高い
派遣社員は正社員のようにボーナスや昇給というものが基本的にはありません。
一定の期間で働いてもらうという条件で、その次の更新も更新不可も企業にとって自由に選択することができます。
そのため企業は、一定数の正社員を確保したらあとはアルバイトやパートで人員を賄って人件費を削減したいと考えます。
しかしアルバイトやパートでは長時間働いてもらいにくかったり、企業が望む曜日や時間に働いてくれる人がいないなどのデメリットが生じてしまいます。
そのため派遣会社と契約をすることで、正社員のような高額な経費をかけずに、アルバイトやパートとは違う長時間の勤務というのが可能となります。
派遣社員は正社員のように給料面が手厚くないものの、アルバイトやパートよりも単価が高めに設定されています。
アルバイトやパートと同じような業務内容であれば、時給単価の高い派遣社員として働く方が効率よく稼ぐことができます。
どのような業界で働くかによっても相場は変わるものの、常に人を募集しているような企業でなければアルバイトやパートは最低賃金ぎりぎりか少しいい程度の時給です。
しかし元々どの業界でも派遣社員の時給は高いため、アルバイトやパートとして働くよりも派遣社員として働いた方が年収ベースで見るとかなりの差が出てきます。
短期間で働くことができる
企業ごとにそれぞれ繁忙期があります。
企業によっては、普段は正社員とアルバイトやパートで人員を確保し、繁忙期だけ働いてくれる人が欲しいということがあります。
繁忙期に備えて求人を募集しても、同じ時期に繁忙期を迎える企業も多く他でも募集しています。
そのため求人誌や求人サイトに掲載しても思ったように人が集まらないということがあります。
それを防ぐため、短期間で働いてくれる人を見つけてくれるよう派遣会社へ依頼することがあります。
派遣社員として働く人の中には、長期的に働くことはできないものの1ヶ月だけ働ける、3ヶ月働きたいという人も多くいます。
繁忙期だけ求人を募集している企業を見つけるのは働く側にとると面倒なことがあります。
しかし派遣会社に登録しておき、短期間の案件があったら連絡をしてほしいとお願いしておくと、希望条件の仕事が出てきたらすぐに連絡を受け取ることができます。
アルバイトやパートなどは企業側の都合で、思ったよりも忙しくなかったり人が足りていた場合、短期で打ち切られたり時間を短縮されたりすることがあり最初に予定していた分を稼げなくなることがあります。
しかし派遣社員では企業と派遣会社であらかじめ契約しているため、契約した期間や時間は守られることが多く、予定していた金額を稼ぐことができるようになります。
派遣社員のデメリット
常に立場が不安定
派遣社員のデメリットとして最もよく言われているのがその不安定さ。
現行の法律では、同一の派遣先が派遣社員を3年以上継続雇用すれば、派遣先で直接雇用するか派遣会社が無期限で雇用しなければなりません。
派遣社員の立場を守るために生まれた法律で、実際にこれが成立したことをきっかけに直接雇用がもらえた派遣社員もいます。
しかし、逆を言えば直接雇用するつもりのない、正社員を増やしたくない企業は3年経てば派遣社員を切ってしまうようになってしまったのです。
したがって、いくら成果をあげても3年経てば切られてしまうという不安定さを常に感じながら仕事をすることになってしまいます。
また、派遣社員は3ヶ月ごとに派遣先との契約更新があります。
それがある限り、常に油断できない生活を送ることになりますし、派遣先で無茶な指示があっても「これを断ったら次の契約を打ち切られてしまうかも」といった強迫観念から嫌々引き受けてしまうことにもなりかねません。
職場を転々とするのが好き、アルバイト感覚で働きたいという人には向いている形態なのでしょうが、安定を求めるのは難しいでしょう。
社内でいい人間関係を構築するのが難しい
職場の雰囲気次第なところもありますが、基本的には派遣社員は「よそ者」。
チームの一員として扱ってもらえないこともあり、いい人間関係を築きづらいです。
同じ境遇の派遣社員が職場に多ければいいのですが、自分だけだと孤立感に苦しめられてしまうことにもなりかねません。
職場とは割り切ったドライな関係を望んでいるのであればむしろ都合がいい状況なのでしょうが、自分も輪の中に入りたいと望むのならつらい思いをすることになるでしょう。
また、派遣社員は賞与や交通費、福利厚生などで正社員との格差が生まれます。
給与や待遇面なら当然の話ですし理解ができますが、ひどいケースだと社員食堂が派遣社員は使用禁止とされている職場もあります。
そうなれば食事をとる場所の確保にも苦労しますし、正社員とのコミュニケーションもますます取りづらくなってしまいますね。
このように正社員との格差を突き付けられると、当然ながら両者の溝も深まってしまうもの。
業務上やっていることは変わらなくても「あの人は正社員だから」、「あの人は派遣社員だから」と常に意識せざるを得ず、お互いに馴染むことが難しくなるのです。
未経験者には厳しい
派遣社員には即戦力が求められています。
未経験者でも採用してくれる派遣先もありますが、待遇面に難があることが多いですし、年齢を重ねれば重ねるほど選択の幅も狭まってしまいます。
実績や資格のある有能な人材であれば好待遇で迎えてもらえるうえに引く手もあまたでしょう。
しかし、突出した能力もなければなかなか厳しい実力勝負の世界なのです。
未経験者歓迎として募集している企業があったとしても、それはあくまでも応募者を増やすための方便であることが多く、フタを開けてみれば経験者ばかりが派遣されていくなんてこともザラ。
業務自体は未経験で構わなくても、業界経験が最低限求められるというパターンだってあります。
また、派遣社員はせっかく育てても契約期限を満たせば去ってしまう身。
したがって指導が必要になるような複雑な業務を教えてもらえず、簡単な業務だけしか任せてもらえないということもあるのです。
それではなかなか「未経験者」から抜け出すことができず、人材として成長していくことができません。
未経験者が取っ掛かりを掴むということに関しては、正社員よりも厳しい世界であると言えます。
将来性が薄い
派遣社員のデメリットとして、将来性が薄いことがあげられます。
一般的に、正社員として就職をすれば出世したり給料がアップしたりもします。
しかし、派遣社員は契約の期間内での仕事となるわけですから、給料がアップしたり出世するようなこともまずないのです。
もちろん、全くないとは言い切れませんが、それは会社から正社員として迎え入れられたらのことです。
正社員になることを希望して派遣社員として契約したとしても、当然ですが正社員になれるかどうかは会社側に決定権があります。
また、待遇もよく何年も派遣社員として契約を更新したからといって、次も契約をもらえるとは限りません。
ましてや、正社員になれるかどうかなど全く分からないことです。
派遣社員というのは働く側にとっては正社員よりも簡単に雇われることも出来て、簡単に辞めることが出来ます。
これは雇う側にとっても同じで、良くも悪くも雇用も契約解除も簡単なのです。
もちろん派遣社員として働くことは様々なメリットもありますから、一概に悪いことだという訳ではありません。
しかし、もし仕事をする上で給料のアップや出世を考えているのであれば、派遣社員ではなく正社員を目指すことが近道です。
転職の度に1からやり直しになる
派遣社員のデメリットとして、転職の度に1からやり直しになることがあげられます。
転職の度に新な仕事をするというのは、派遣社員として働くことのメリットとも言えます。
しかし、昨日までの仕事とは違うことを1からやり直しになることは、やはりとても大変で負担になるためデメリットとも言えます。
もちろん、同じ職種で転職をすれば、まったくの無駄になるということはありません。
しかし、いくら同じ職種でも、まったく同じという訳にはいきません。
同じ仕事内容でも達成までの方法や、プロセスはまったく違うというのは多々あります。
それは仕事のルールやツール、共に仕事をする人間が変わる以上はやむを得ないことでもあります。
そういった違いを認識して覚えなおし、仕事のやり方を変えるというのはやはりとても労力の要ることです。
もちろん経験が豊かになったり、新しいことを覚えて吸収するチャンスなので、これはメリットとも言えます。
しかし新しい環境というのは、誰にとっても精神的な負担が増してしまうものです。
あまりストレスを感じたり苦労したくないという場合は、やはり頻繁に転職する派遣社員はあまり良いとは言えません。
同じ職場ではないということは、仕事のやり方も変わってくるということです。
経験を積んでスキルアップも出来ますが、その分負担が大きいというデメリットもあることを認識する必要があります。
福利厚生などの手当が不十分
派遣社員のデメリットとして、福利厚生などのが不十分なことがあげられます。
福利厚生とは、健康保険や雇用保険、労災保険などの安心して働くために大切なものです。
正社員として会社で働くと、こういった福利厚生を手厚く受けることができます。
しかし、一般に派遣社員はこのような福利厚生を手厚く受けることが出来ないケースが多いのです。
派遣社員は給料が高い分、こういった手当てはあまり充実していません。
もちろん、昨今は非正規雇用の増加にともなって、派遣社員でも福利厚生などの手当を受けやすくなってきました。
しかし、福利厚生などの手当を受けるには様々な条件を満たす必要があるため、正社員より充実しているということはまれです。
派遣社員として働くのであれば、福利厚生や手当を手厚く受けられるかどうかなど転職前にしっかり調べる必要もあります。
さらに、正社員なら入社した時に会社側が必要な手続きをしてくれるものですが、派遣社員は自分が受けられるものについて手続きも自分でやらなくてはいけないのです。
そのため、転職したての時は仕事だけでなくこういった手続きの負担も抱えることになります。
派遣社員はデメリットしかないって本当?
いかがでしょうか。
よく派遣社員はデメリットばかりと言われます。
補償は正社員と比べて手厚くなく、給料も安い。
それなのに正社員と同じ成果を求められることも少なくない。
そういった意図からきているのでしょう。
しかし、それは一昔前の意見だと言わざるを得ません。
なぜなら今はどの業界でも人手不足で、ある程度待遇を考慮しないと人材が定着しないどころか、求人に応募すらこないからです。
つまりこれは派遣社員にとっては良い状況であるということです。
環境が良くなかったらさっさとやめて次の職場に移ることもできますし、会社が引き止めて給料が上がるかもしれません。
そのため帰りたかったら無駄な残業をせずに帰ることだってできます。
嫌ならクビにしていいよ、というスタンスを貫くことで自分の時間を確保し、副業や趣味に時間を当てて充実した時間を過ごすことができます。
こう考えると、下手に正社員になってしまうほうがデメリットが大きいかもしれません。
ただこれは様々な考え方があるので、どちらがいいと断言することは難しいです。
あくまでも「選択」の問題です。
あなたにとってどちらの選択が自分らしく、楽しく過ごすことができるのかを考えて決断するといいでしょう。
また、もしあなたの仕事が上手くいっていなかったり、職場での悩みがあるのであれば「仕事ができない人の特徴とその対処法9つ」もあわせて読んでみましょう。きっと今までの悩みや問題が一瞬で解決できるキッカケをつかむことができるはずですよ。