仮面うつ病の特徴や症状・原因とその治療方法8つ
近年増えている仮面うつ病。
重いものを持てば筋肉に負担がかかり、血圧が高くなれば血管に負担がかかりますよね。
同じように精神的に疲れば体の不調が現れます。
それが仮面うつ病です。
自分でも気がつかないまま精神的に追いこまれ、体は悲鳴をあげている状態です。
内科にかかる患者さんの多くが仮面うつ病だと言う意見もあります。
なかなか治りにくいとされる仮面うつ病。
わからないまま放置すれば、さらに症状が悪化することも。
早めに治して不快な症状を改善するために、今回は仮面うつ病の特徴についてご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:仮面うつ病の人への接し方3つ
仮面うつ病の特徴や症状・原因とその治療方法
- 仮面うつ病とは
- 仮面うつ病の原因
- 仮面うつ病の症状
- 精神的な症状がない
- 症状の理由が見つからない
- ミスが増える
- 時間で症状がかわる
- 仮面うつ病の治療方法
仮面うつ病とは
仮面うつ病とは、自律神経失調症と、最も間違えやすい病気の一つです。
仮面うつ病は、定義的にはうつ病と変わりません。倦怠感、不眠、頭痛やしびれ、微熱などの身体の不調が現れ、自律神経失調症の症状と非常に似ています。
例えば、次のような実際にあったお話があります。
ある更年期にさしかかった女性が更年期障害ではないかと思い、婦人科に行ったら、予想通り更年期障害と診断され、通院することになりました。
ところが、いつまで経っても症状が改善されないので、薬の量を増やし、様子をみましたが、改善されるどころか症状はますます悪くなるばかりでした。
医師は、自律神経失調症も疑ったが、改善されている様子もない・・・。
そこで、医師が「これはひょっとしたらうつ病なのでは」と思い、抗うつ剤を投与したら、ぴたりとよくなり、元気になった・・・。
このように、専門医でさえも見間違えるほど、「まるでうつ病が他の病気のマスク(仮面)をかぶっているかのように見えてしまう」ことから、『仮面うつ病』という名が付けられたのです。
仮面うつ病の原因
仮面うつ病の本質はうつ病であり、うつ病の中での典型的なうつ病である「内因性うつ病」であることがほとんどです。
内因性うつ病というのは、「ストレス・環境」などの外的要因ではなく、「遺伝・体質」などの内的要因が主な原因となって生じるうつ病で、先ほど説明したようなメランコリー親和型の性格傾向を持つ方に多く発症します。
・秩序や規則を重んじる
・完璧主義で責任感が強い
・他者との衝突を避けるこのような性格傾向を持つ方は、「自分に厳しい」方が多いようです。
そのため、自分自身が
・落ち込み
・興味を持てない
・やる気が出ない
・集中できないなどの精神症状が出現していること、精神的弱さをさらけ出すことが耐えられないため、行き場を失ったストレスが身体症状として現れているのではないかと考えられています。
出典 仮面うつ病とは、どのようなうつ病なのか?仮面うつ病の特徴と傾向
仮面うつ病の症状
仮面うつ病の症状をここで全てまとめておきましょう。『疲労感、食思不振、性欲の低下、耳鳴り、めまい、微熱、寝汗、冷汗、息切れ、呼吸困難、過呼吸、胸焼け、げっぷ、心悸亢進、頻脈、胸部圧迫感、胸部不快感、胸部苦悶感、動悸、手足のしびれ、頭痛、肩凝り、胃部不快感、嘔気、喉のつかえ、舌の痛み、口の中の違和感、口の乾き、残尿感、残便感、腹部膨満感、ガス貯留感、腹痛、便秘、下痢、腰痛』が代表的です。これだけで実に50症状あります。
うつが重度になると、希死念慮や焦燥、睡眠障がい、困惑、精神運動制止、亜昏迷、妄想などの難しい精神症状が出現します。
出典 仮面うつ病
「全身症状」には、
●だるさ、倦怠感、疲労感
●不眠などの睡眠障害
などがよく見られる症状です。そのほかには
●食欲不振
●性欲減退
など、エネルギーの枯渇が原因で
本能にまで不調を及ぼす症状も見られます。性欲が減退すると、男性の場合はインポテンツに、
女性の場合は月経不順などの症状が現れます。
出典 仮面うつ病の症状
精神的な症状がない
仮面うつ病と呼ばれる最も大きな理由は精神的な症状がないことです。
うつ病では現れる症状として
・気分の落ちこみ
・意欲の低下
・自殺企図
これらの症状は仮面うつ病では現れません。
仮面うつ病の症状としては
・頭痛
・腹痛
・腰痛
など身体の痛みが特徴的です。
精神的に落ち込むなんて恥ずかしい…
自分がうつ病なんて認めたくない…
という自分でも気づかない思いから、精神的な症状が表にでず、
身体的症状として現れてしまうといわれています。
やる気にあふれ、やりたいことは盛りだくさん。
でも、体がおかしい。
そんな症状は仮面うつ病の可能性があります。
症状の理由が見つからない
頭が痛い、下痢が続く、目が見えにくい…など身体的な症状が精神的な症状よりも前面に出てくるのが仮面うつ病です。
それならば、と病院に行って何度検査しても原因が見つからない。
頭痛薬を飲んでも痛みが続く、下痢止めもその場限り、視力の低下はない。
原因を突き止めようと、病院巡りになってしまうことも少なくありません。
どの病院でも異常が見つからない場合には仮面うつ病を疑う必要があります。
内科的疾患に似た症状以外にも腰の痛みや肩コリなど整形外科的な症状が現れ、
精神的な症状と気づかれずに悪化し続けるケースもあります。
ミスが増える
自分に厳しい完璧主義者は仮面うつ病にかかりやすいです。
こんなことを感じたら要注意
・いつもはできる仕事でミスが増える・家事の段取りに手間取ってしまう
・メニューがなかなか決められない
普段からは考えられないミスが増えた時には注意しましょう。
ミスが増えることでさらに落ち込み、仮面うつ病から大うつ病へと発展してしまうことも考えられます。
周りに迷惑をかけては…と思うことで身体的な症状がひどくなることもあります。
自分でためこんでミスをしては元も子もありませんよね。
自分の負担を減らせるよう、時には周りに協力してもらうことはどんな病気の治療にも大切なことですよ。
時間で症状がかわる
1日の間に症状の変化があるのも仮面うつ病の特徴です。
うつ病における精神的な症状も日内変動が起こります。
仮面うつ病も同様です。
特に午前中に調子が悪く、午後は改善するケースが多くみられます。
朝は頭痛がするけれど午後には治る。
ただの頭痛であれば決まった時間に症状が変化することはなかなかありませんよね。
原因不明の辛い症状が続いている、決まった時間で症状の違いを感じることができる。
そんな時、その痛みの原因はもしかしたら仮面うつ病かもしれません。
仮面うつ病の治療方法
仮面うつ病の治療方法には、カウンセリングなどの治療方法もありますが、
身体症状の重症化の程度によりその治療方法は変わります。一般的には抗うつ薬の服用が治療の基本です。
ここでは、抗うつ薬を服用する場合を
前提として説明します。よくある処方パターンは主に5つ。
①抗うつ薬のみの治療方法。
②抗うつ薬と抗不安薬の併用。
③抗うつ薬と睡眠薬の併用。
④抗うつ薬と抗不安薬、睡眠薬の併用。
⑤抗うつ薬と抗不安薬、睡眠薬、副作用を抑える薬の併用。もちろん、気づくかと思いますが、
①~⑤、全てに副作用を抑える薬、又は痛み止めなど、
その他の症状を和らげる薬の併用をすることもあります。
出典 仮面うつ病の症状を、永遠にさよならする治療方法(治し方、薬服用編)
「仮面うつ病」には抗うつ薬が効果的です。
さきほど、抗うつ薬は痛みを解くのに効果的なものが多い、といいましたが、痛みを初めとする身体症状が全面に出ているうつ病についてこれを用いた場合、他のどのような薬物よりも効果絶大です。
出典 「”仮面”を被ったうつ病 ~痛みにさまよえる患者さんたち~」
メランコリー親和型性格の人が多く、少し良くなると今まで仕事の遅れを取り戻そうとして、早く仕事を始め過ぎて治療が振り出しにもどる人や、周囲の人や義理や責任感のために、せっかく直ったのにまた役割を引き受け過ぎて再発する人もいます。再発防止のためには、仕事や義理はほどほどにひきうける生活へのパターンの変更が必要です。
出典 うつ病とその治療
仮面うつ病の特徴を理解しよう
いかがでしょうか。
仮面うつ病の治療にはうつ病の薬がよく効きます。
どんな薬を飲んでも症状が治らない体の悩みを抱える方は一度、心療内科や精神科の受診をお勧めします。
うつ病と認めたくないと考える方も多くいます。
また、なんでもうつ病にしてしまおうという風潮もあります。
ですが、仮面うつ病の症状で悩み、辛い痛みや頑固な症状が抗うつ薬で改善される方がいることも事実です。
仮面うつ病の症状を治す最初のステップは自分が仮面うつ病だと知ることから始まります。
まずは一度、仮面うつ病の疑いがあるかどうかをチェックしてみてくださいね。
また、もしあなたの仕事が上手くいっていなかったり、職場での悩みがあるのであれば「仕事ができない人の特徴とその対処法9つ」もあわせて読んでみましょう。きっと今までの悩みや問題が一瞬で解決できるキッカケをつかむことができるはずですよ。