上に立つ人間の心得9つ
上に立つ人間というのはどのような人が理想なのでしょうか。
部下の目線から見ると「うざい上司だ」「うるさいなぁ」なんて感じることもしばしばあったものですが、いざ自分が上に立つ人間になるとその大変さが身にしみてわかるようになります。
立候補にしろ推薦や指名制にしろ、人の上に立つ立場に選ばれた人間には周囲から見て、それ相応の資質があると見込まれているはずです。
しかし中には、そういった「人の上に立つ立場」になった途端に、人格や振る舞い方が以前と変わってしまったということはありませんか?
そういったことにならないよう、皆に慕われ頼られる上司になるために気を付けたいものですよね。
そこで今回は上に立つ人間の心得や特徴をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
上に立つ人間とは
感情をコントロールする
人の上に立つリーダーにはいくつかのタイプがありますが、どんなタイプのリーダーでも部下を上手にマネジメントするために不可欠な、共通の「心得」があります。
1つ目の心得は、自分の感情をコントロールすること。
上に立つ人が、いつも感情に左右されていては、下の人間はその顔色ばかり窺うことになってしまいます。
「機嫌が良いとき」と「悪いとき」が誰の目にも明らかなようなリーダーや、すぐ感情的になって部下を叱りとばしてしまうようなリーダーは、部下から慕われるはずがありません。
人をマネジメントするためには、まず自分を上手にマネジメントできなくてはならないのです。
とはいっても、常にポーカーフェイスで感情の起伏をまったく表に出さない、というのも困りもの。
しっかり感情コントロールをしながら、人間味も見せることが必要なのです。
褒め上手の素質を持っている
人をマネジメントし、チームとしてより大きな成果を出すためには、個々のメンバーのモチベーションを高めること、つまり「やる気にさせる」ことが必要になります。
その際、もっとも有効な手段が「ほめる」ということです。
「メンバーをマネジメントしなければ」という意識が強すぎると、どうしても叱ることが多くなってしまうでしょう。
もちろん、時には叱り、諭すことも必要ですが、それだけでは「やる気」を出させることはできません。人間、ほめられれば誰でもやる気が出るものです。
よく言われるように「ほめるときは大勢の前で。叱るときは、他に人がいないところで」というのが叱り方、ほめ方の基本です。
ただし、ほんのささいなことを二人きりのところでほめるのも、有効なやり方なのです。
部下の「ささいな成功」や「ちょっとした良いこと」に気づいて、それをほめてあげられるのが、有能なリーダーということができるでしょう。
報・連・相をしやすい環境を作る
どんな組織でも、上司と部下のコミュニケーションは「報連相」によって成り立っています。
「報連相を欠かすな」と声高に指示するだけなのは、ダメなリーダーのやり方です。有能なリーダーは、そうした指示をしなくても、部下がすすんで「報連相」を行えるような環境づくりをします。
「いつどんなタイミングで報連相を受けても、それを受け入れる」、これが環境づくりの基本になります。
一人一人に対して細かく目配りする
人の上に立つ人間にとって、部下やメンバーは複数います。
しかし、一人一人の部下やメンバーにとって、直属の上司やリーダーは一人しかいません。まず、このことをしっかり認識しておく必要があるでしょう。
その上で、それぞれの「個人」に対して細かい目配りをすることが必要です。
各人の状況を把握し、適切な対応をとることが、上に立つ人間の仕事と心得ましょう。大切なのは「観察」なのです。
優れた観察眼を持たなければ、人身を掌握し、リーダーシップを発揮することはできません。
適材適所、そして「適時」、つまりタイミング。これを判断するために必要な情報は、部下やメンバーを細かく観察することによってしか得られないのです。
それぞれの自主性を重視し、個性を生かす
観察や目配りは細かくしなくてはいけません。
しかし、指示やアドバイスはあまり細かくしないほうが、それぞれのメンバーを成長させることができます。
大切なのは、各自の自主性を尊重し、個性を生かせるようサポートすることです。
たとえば、大リーグ、ヤンキースのイチロー選手。彼は高卒でプロになりましたが、第一線で活躍するまでには時間がかかりました。
彼は「振り子打法」というユニークなバッティングホームの持ち主。
入団時、そのフォームを「上に立つ人間」は「悪い癖」と捉え、直させようとしました。しかし、ガンコなイチロー選手は「自分はこれで行く」という信念を変えず、上司の指示に従いませんでした。
それが「上に立つ人間」の不興を買って、試合に使ってもらえなかったのです。
これは「悪い例」です。
イチロー選手はその後、別の上司の元で花開いたわけですが、それは、新しい上司が彼の個性を尊重し、生かそうというタイプだったためです。
個々のメンバーが安心してチャレンジし、安心して失敗できるようにサポートする
部下やチームメンバーが安心して失敗できるようサポートするのも、上に立つ人間の仕事です。
部下が積極的にチャレンジし、その結果、失敗したときは、部下を責めてはいけません。「最終的な責任は自分が負う」と明言して、各自が自主性を持ってチャレンジできるようにサポートしましょう。
「安心して失敗できる」というのは、すなわち「安心して自主性を発揮できる」ということ。それが、より大きな成果を生むのです。
そのサポーター役が、上に立つ人間なのです。
人の失敗をむやみに怒らない
人の上に立つという立場では、人の失敗を指摘しなければいけません。その際、むやみに怒鳴りつけていませんか?
中には「いくら自分が悪くても怒鳴られると萎縮して怒られている内容が頭に入ってこない」とか「毎回、怒鳴られるので怒鳴られることに慣れてしまい怒られている気が薄れてしまう」という人がいます。
そのために人が失敗をした際には、どうしてそういう失敗をしたのか?何がいけなかったのか?今後どうすれば良いか?を一緒に考えた上で「冷静に注意する」ことを心がけましょう。
なるべく「弱み」を見せないようにする
例えばもし自分の上司がトラブルに巻き込まれた際に「どうしよう!どうすればいい??」なんて明らかに焦っていたら、アナタはどう感じますか?
部下からすれば上司は頼れる存在であってほしいハズ。
しかし仕事上のトラブルに巻き込まれることは誰にでもあり得ることです。問題は、そういう状況に陥ったときにどのように立ち振る舞うか、ということです。
そのため心の中で焦っていても、なるべくそれを表に出さないようにしましょう。
本当にどうすればいいかわからず部下にも意見を求めたい場合は、決して取り乱さず冷静に尋ねられるようにするといいでしょう。
孤独を感じて、すべてを自分で抱え込まない
人の上に立つ人間としてありがちなことが「なんでもかんでも自分でやってしまう」ということです。
この行動の根本には、人に任せるより自分でやった方が早いし確実で安心、という考え方がある場合が多々あります。
しかし、それではいずれ自分自身でモノを抱えすぎて潰れてしまうなんてことになりかねませんし、下の人間が育ちません。
更に自分(上司)の、「人を回す(効率的に動かす)」という能力が全く向上しません。
そのために、自分でも出来るようなこともなるべく部下に任せるようにしましょう。
ちなみに、お願いしたことをしっかりこなしてくれた人には褒めることも忘れないようにしましょう。
上に立つ人間が嫌われる理由
部下として働いていた時の気持ちを忘れるから
現在は上に立つ人間だとしても、だいたいの人間は過去に部下として働いていた経験があるはずです。
なので上に立つ人間は、部下の気持ちもわかって当然なのですね。
自分が経験してきたことなので、昔を覚えているなら部下が嫌がるような言動を避けるでしょう。
しかし悲しいことに、人は忘れてしまうのです。
昔自分が嫌いだった上司のこと、苦労したことなども時間が経過していくうちに思い出せなくなってしまうのですね。
それどころか、ポジティブな人間は都合のいいように記憶を改竄してしまいます。
それ故に、部下の気持ちがわからず嫌われてしまうことばかりしてしまうのです。
今を生きているので現在置かれている立場が大事なのは当たり前ですが、部下と良好な関係を築きたいなら部下の気持ちを理解しなければなりません。
己の過去を忘れないように、時々昔を振り返ることも必要なのですね。
部下に気を遣わないから
嫌われる上司の中には、自分の部下にまったく気を遣わない上司がいます。
部下になにかをしてもらってもお礼を言わない、部下だからやって当然だと思っているような人間です。
そのくせ上司らしいことはなにもしないのが特徴ですね。
普通、自分の部下が失敗をした時はフォローをするものですが、気を遣わない上司はフォローなんてしません。
それどころか部下を責めるでしょう。
上司として叱ることはとても大切ですが、その分きちんと上司らしく部下を助けなければ尊敬されません。
それができないのが、気を遣わない上司なのです。
好かれる要素が一切ないので部下にはもちろん嫌われますし、陰で馬鹿にされるようなタイプですね。
上司だからといって好き放題やっていいわけではありません。
それなのに立場が上だということで少々勘違いをしてしまい、部下を道具のように扱うから嫌われるのです。
部下に対して謝罪ができないから
謝罪ができない人間は、器が小さいと思われるでしょう。
どんな人間でも自分の非は認めて、きちんと謝るべきなのです。
人としてそれが当たり前のことなのに、できない人間は少なくありませんね。
仕事上では特に、上司がしっかり謝罪をしないと部下はショックを受けるでしょう。
上司は部下のお手本となるべき存在であり、頼れて憧れるべき人間なのです。
そんな人が自分の非を認めず、謝罪をしない様子を見たら情けない人間だと感じるでしょう。
この人についていきたくないと思うでしょうね。
自分と同等の立場の者より、自分より低い立場の人間に謝罪をするほうが勇気が必要です。
偉いはずの自分が自分の失敗を認めるのですから、複雑な気持ちになるでしょう。
ですが、どんな相手にもきちんと謝罪をすることで尊敬され続けることができるのです。
反対に、それができなければそのレベルの人間だと思われてしまうのです。
部下を育てる気がないから信頼されない
あれをやれこれをやれと指示は出すのに具体的なやり方を教えない上司がいます。
自分で学べ、自分で考えろというスタンスの上司にありがちですね。
もちろん自分の力でやり遂げることも重要です。
自分の力で乗り切ったことは忘れませんし、自信に繋がるのですね。
ですがやりすぎると部下には嫌われてしまいます。
そもそも、仕事のやり方は多少教えて育てなければ使える人間にはなれません。
部下にしっかりと仕事をしてほしいなら、上司は時間をかけて部下を育てなければならないのです。
それを部下のためではなくただ自分が面倒だからと教育しないで、仕事だけ押し付けるようでは部下も困ってしまいます。
仕事のやり方がわからないのに、仕事をやれと言われてもどうすることもできません。
育てる気はないのにいいように使おうとしている、そういうズルイ気持ちがバレバレなので嫌われるのです。
上に立つ人間の特徴は柔軟性がある
いかがでしょうか。
人の上に立ち、下から頼られる・信頼される人になることは非常に難しいものです。
もしいま部下のまとめかたに悩んでいるという人はぜひ参考にしてみてください。
また人の上に立ちたいという願望がある人は、今のうちから上記のようなことを心がけられるといいですね。
人の上に立つ人間は相手のことを理解し、時には自分の考えを変えるぐらいの柔軟性が必要不可欠だということをしっかりと覚えておきましょう。
また、もしあなたの仕事が上手くいっていなかったり、職場での悩みがあるのであれば「仕事ができない人の特徴とその対処法9つ」もあわせて読んでみましょう。きっと今までの悩みや問題が一瞬で解決できるキッカケをつかむことができるはずですよ。